4.パネンカ先生の練習法

晩年にチェコテレビが制作したパネンカ先生のドキュメント番組で「ピアニストとして生きるためには、これだけたくさんのことをしなければならないと事前に分かっていたら、この道には進まなかった」と話しているシーンがあります。
 先生の基礎練習方法を奥様にうかがったところ、
1、毎朝9時にはピアノの前に座る
2、アルコールで鍵盤を拭く
3、音階やアルペジョ
4、練習曲
 ここまでに、ほぼ2時間は要したそうです。驚くことに、奥様からうかがった話では、パネンカ先生は「自分は本格的なピアノの教育を受けた期間が、他の人よりもはるかに短いから、人よりたくさん基礎練習をし続けなければならない。自分にはピアニストとしてハンディがある。」とおっしゃっていたそうです。
「何ごとも、するからには完璧をめざす」これが先生のモットーだったそうです。
 先生が新しいレパートリーを習得するときには、まず、作曲家と作品について徹底的に本で調べ、関連書を読み、出版社の違う楽譜をそろえて相違を分析、楽曲構成を分析、それが終わってからはじめてピアノに向かったそうです。
 例えば、弾きにくいパッセージが出てきたときには、独特の部分練習方法がありました。
 果物のプルーンを食べた後、種を洗って乾かし、小箱に入れておきます。先生が部分練習をするときには、そのプルーンの種をピアノの譜面台の左横に置きます。そして、ゆっくり練習し、リズム練習を1度こなすごとに、その種を一つずつ左から右へと移していき、左に種がなくなったら今度は右から左へと移していきます。
 同じ部分をまとめていちどに30回練習するのではなく、リズムとアーティキュレーションのヴァリエーションを30種類用意して、10種類のヴァリエーションを1度ずつ弾き、その日のうちに3度にわけて(他の部分練習をしてまた戻る)行った方が効果が増大するということもおっしゃっていました。
 パネンカ先生が1日家にいられる日には、10時間程ピアノに向かっていたそうです。
 先生の奥様は、結婚した当初、先生のお母さまに
「エヴァさん(パネンカ先生の奥様)、うちの息子はピアノに向かうと食べることも忘れてしまうから、練習中でも適当な時間にりんごでも剥いて譜面台のところまでもっていってあげて。そうしないと、ずっと弾き続けてしまい体を壊してしまうから。お願いね。」と言われたそうです。


パネンカ先生の奥様と
パネンカ先生の奥様と