15.プラハの冬

プラハの冬はある日突然やって来ます。11月第1週の日曜日、いつも通り学校で練習するために7時半頃寮を出ました。その日はやけに寒いなと思いつつカレル橋に差し掛かった頃、あと五分も歩けば学校だというのに、寒くて全く歩けなくなりました。多分その日はマイナス7度ぐらいだったのでしょう。近くのスタンドで温かい飲み物と、ホットドッグを買って寮に引き返しました。
 こういう寒さになると、もうズボン下を履いていないと身が持ちません。厚手のコートを着込んでぐっと顎をひいて歩きます。マフラーや帽子はお洒落の為である前に防寒必需品です。立ち食い、歩き飲みが多いのも、身を守る術なのかもと思ったりします。
 すぐに体をあたためる飲み物には、グロッグ(ラムのお湯割り、はちみつやレモンを入れたりする)、スリヴォヴィツェ(プルーンのウォッカ--風邪の予防に最高です)やスヴァジェネー・ヴィーノ(シナモンいり甘くて温かい赤ワイン)が一番です。
 チェコで生活した中で一番寒かった日には、気温がマイナス18度まで下がりました。地面についている足から徐々に上に向かって凍っていくといった感じです。よく、胸からウォッカの入ったブリキ缶を出すシベリアの酔いどれオヤジの絵を見ますが、本当にそうせざるを得ない環境なのだろうと想像できます。